【絶対駄目】イラッとしてフィリピンで手を上げてしまうとこうなる
フィリピン滞在中、文化や価値観の違いから、イラッとしてしまう場面に遭遇することもあるかもしれません。特にストリートチルドレンのしつこい物乞いや、フィリピン人との間で起こる些細なトラブル。そんな時、カッとなってつい手を出してしまったら...。今回は、フィリピンで暴力行為に及んでしまった場合に科される可能性のある、非常に厳しい罰則についてVOKUが解説します。知らなかったでは済まされない、フィリピンの法律。絶対に軽視しないでください。
ストリートチルドレンに手を上げたら?
街で遭遇するストリートチルドレン。時にはしつこく、鬱陶しく感じることもあるでしょう。しかし、彼らに手を上げる行為は極めて深刻な結果を招きます。フィリピンには 共和国法第7610号(RA7610)、通称「児童虐待からの特別保護法」が存在し、子供に対するあらゆる形態の虐待や差別から保護することを目的としています。
この法律に違反した場合、科される可能性のある刑罰は以下の通りです。
- 重傷を負わせた場合(例:骨折させ30日以上動けない状態にするなど):懲役6年1日以上12年以下
- 加重事情がある場合:
- 被害者が12歳未満
- 加害者が親、保護者、教師などの立場にある
- 行為が極めて残虐(例:笑いながら暴行、動画撮影など)
- 比較的軽微な傷害の場合(例:頭を殴るなど):1ヶ月1日以上6ヶ月以下の拘留
- さらに軽微な場合(例:突き飛ばして擦り傷を負わせる程度):1日以上30日以下の拘留
たとえ相手が子供であっても、カッとなって手を出せば、年単位の懲役刑もあり得るのです。我々大人が子供に対して暴力を振るうことの重さを、フィリピンの法律は厳しく問い詰めます。
フィリピン人(成人)と喧嘩して手を出したら?
フィリピン人(成人)と金銭トラブルやその他の問題で口論になり、エスカレートして暴力に発展した場合も、当然ながら処罰の対象となります。刑罰の基本的な考え方は子供への暴力と同様、傷害の程度によって変わります。
- 重篤な傷害の場合:1年以上の懲役が科されることがあります。
- 軽い傷害の場合:一般的に約1ヶ月程度の拘留で済むこともありますが、ケースバイケースです。
ただし、以下の場合は刑罰が重くなる可能性があります。
- 複数人での暴行
- 刃物などの凶器の使用
一方で、情状酌量の余地があると判断されるケースもあります。例えば、自首した場合、被害者側からの明らかな挑発があった場合、または一時的な感情の高ぶりで、第三者から見てもある程度やむを得ない状況と認められる場合などは、刑罰が軽減されることもあります。しかし、これらはあくまで例外的なケースであり、基本的には暴力行為は厳しく罰せられます。
交際相手(特に女性)に手を上げたら? (VAWC法)
フィリピンでは、交際相手や配偶者(特に女性や子供)に対する暴力は 共和国法第9262号(RA9262)、通称「女性及びその子供に対する暴力防止法(Anti-Violence Against Women and Their Children Act of 2004、VAWC法)」によって厳しく罰せられます。この法律は、身体的暴力だけでなく、精神的・経済的暴力も対象としています。
驚くべきことに、この法律による処罰は、子供への暴力に対する罰則とほぼ同等のものが適用されることがあります。
- 身体的・精神的虐待:被害の程度に応じて、1ヶ月以上12年以下の懲役。
- 言葉の暴力、脅迫、侮辱、過度の干渉や嫉妬:これも虐待と見なされ、同様に1ヶ月以上12年以下の懲役。
- 罰金:上記に加え、10万ペソ以上30万ペソ以下の罰金が科されることがあります。
さらに、以下のような措置も命じられる可能性があります。
- 強制的な心理カウンセリング
- 被害者への損害賠償
- 接近禁止命令、連絡禁止命令
これらの行為は刑事記録として残り、将来の就労やビザ取得に深刻な影響を及ぼす可能性があります。フィリピン人女性は気が強いと言われることもありますが、どんな理由があれ、手を出すことは絶対に許されません。
VOKU氏の所感として、フィリピン人同士の男女間の暴力は見過ごされることもあるかもしれませんが、外国人による暴力行為に対しては、警察はより厳しく対応する傾向があるとのこと。「外国人だから」という理由で、より重い処罰を受ける可能性も否定できません。
「イラッ」の一瞬が人生を狂わせる。フィリピンでは絶対に手を出さない!
フィリピンでは、いかなる理由があっても暴力行為は厳しく罰せられます。特に子供や女性に対する暴力は、非常に重い刑罰が科されることを肝に銘じてください。 「相手が悪い」「カッとなった」という言い訳は通用しません。
外国人である私たちは、現地の法律を遵守し、敬意を払う必要があります。一時の感情で手を出してしまえば、罰金、長期の懲役、強制送還、そして将来にわたる汚点を残すことになりかねません。
フィリピンでの安全で平和な滞在のために、常に冷静さを保ち、いかなる状況でも暴力に訴えないことを強く心掛けてください。