皆さん、こんにちは。フィリピン夜のラジオ・セカンドチャンネルのVOKUです。今日は、華やかに見えるフィリピンパブ、いわゆるKTVで働く女性たちの仕事について、その「残酷な現実」に焦点を当ててお話ししたいと思います。キラキラした世界の裏側には、彼女たちが日々直面している厳しい現実が隠されています。ぜひ最後までご覧いただき、この仕事の実態について理解を深めていただければと思います。

見た目が全て?厳しい採用基準と容姿至上主義

まず、KTVで働くためには面接をクリアしなければなりません。しかし、この面接基準は店の規模によって大きく異なります。大きな有名店では、容姿が採用の絶対的な基準となることが多く、見た目が良くないと判断されれば、即不採用です。一方、小さな店では「とりあえず採用して、ダメなら切ればいい」というスタンスのところもあり、容姿に自信がない女性でも働くチャンスはありますが、それもまた厳しい現実の始まりです。結局のところ、お客さんに選ばれるためには「面白さよりも容姿」が優先されるのがこの世界の常。容姿が悪ければ、そもそも指名される機会すら与えられないのです。

15日間の試練:最低ポイント未達なら即解雇

晴れて採用されたとしても、安心はできません。多くの店では、入店後15日間で最低限の指名ポイントを獲得しなければならない「カット制度」が存在します。例えば、昔は15日間で27ポイント(指名1P、延長1Pなど)が必要でしたが、現在は少し緩和されて16ポイント程度になっている店もあります。それでも、新人にとっては非常に厳しいノルマです。2週間で16回以上指名され、かつ延長もしてもらうというのは、まずお客さんを見つけることからして困難。このノルマを達成できなければ、容赦なく解雇されてしまいます。

お接客目的の客が大半、かわす技術が必須

容姿が良く、なんとか指名をもらえたとしても、次なる壁は客層です。来店する客の7割以上は、はっきり言ってお接待目的です。これは私自身も含めてですが、そうした下心を持つ客をいかに上手くかわし、楽しませ、次も指名してもらえるように繋げるかが彼女たちの腕の見せ所。しかし、あからさまに「彼氏とラブラブなの」といった話をすれば客は萎えてしまいますし、かといって安易に期待を持たせすぎるとトラブルの元にもなります。嘘でも興味があるように見せかけ、絶妙な距離感を保つスキルが求められるのです。

テキーラの嵐、身体を削る過酷な飲酒

お客さんに気に入られ、売上が上がれば給料も増えます。しかし、その売上の多くは高価なドリンク、特にテキーラによってもたらされます。テキーラが美味しいと言う人もいますが、それは「お金の味」であって、実際には多くの女性にとって不味く、身体に負担のかかる飲み物です。それを仕事としてガブガブ飲まなければならない現実は非常に過酷。酔っ払って帰宅し、翌日もまた同じように飲酒を繰り返す…健康を削りながら働くのが日常なのです。

不安定な給料、太客依存のリスク

KTV嬢の給料は基本的に歩合制で、固定給はほぼありません。そのため、客の流れや太客の存在に収入が大きく左右されます。ゴールデンウィークなど客が多い時期は稼げても、それが終われば一気に収入が激減することも。一人の太客に依存している場合、その客が来なくなれば生活が一変するリスクも常に抱えています。毎月安定した収入を得ることは非常に難しく、常に不安定な経済状況と隣り合わせです。

女同士の嫉妬と派閥、陰湿ないじめ

お客さんとの関係だけでなく、同僚である女性たちとの関係もまた過酷です。ランキングや指名数をめぐって、嫉妬や足の引っ張り合いは日常茶飯事。派閥が存在し、陰口を叩かれたり、いじめに遭ったりすることも少なくありません。「あの子は枕営業している」といった根も葉もない噂を流されることも。こうした精神的なストレスも、彼女たちが抱える大きな問題の一つです。

高確率で遭遇する「痛客」、笑顔で耐える日々

そして、避けては通れないのが「痛客(イタキャク)」の存在です。セクハラまがいの言動、理不尽な要求、ストーカー行為など、その内容は様々。日本のキャバクラなどでも痛客は問題になりますが、フィリピンのKTVでは、生活がかかっているため、どんなに嫌な客に対しても笑顔で接し、相手をしなければならないという、より厳しい状況があります。連絡を無視したり、はっきり拒絶したりすることが難しいのです。

長くは続けられない仕事、常に迫る将来への不安

KTVの仕事は、若さと健康を切り売りするようなものです。当然、一生続けられる仕事ではありません。数年後、あるいは10年後、自分はどうなっているのか? この仕事を辞めた後、どうやって生計を立てていくのか? 彼女たちは、日々の過酷な労働と並行して、常に将来への不安と向き合わなければならないのです。

華やかさの裏に隠された、知られざる苦悩

フィリピンパブ嬢という仕事は、一見華やかで楽に稼げるように見えるかもしれません。しかし、その裏側には、厳しいノルマ、不安定な収入、過酷な労働環境、そして絶え間ない精神的ストレスといった、数多くの残酷な現実が横たわっています。

彼女たちは、家族のため、自分の将来のために、日々これらの困難と戦っています。 私たちが彼女たちと接する際には、こうした背景を少しでも理解し、リスペクトの気持ちを持つことが大切なのではないでしょうか。

この仕事の現実を知ることで、フィリピンの夜の世界に対する見方が少しでも変われば幸いです。