フィリピン夜のラジオ、VOKUです。今回は、フィリピンで実際にあった美人局(つつもたせ)の被害についてお話しします。現場は皆さんもよくご存知の、マニラの有名ショッピングモール「グリーンベルト」。初めてフィリピンを訪れた日本人旅行者が、親切な美女二人組に声をかけられ、巧妙な罠にはまってしまうという、恐ろしい実話です。注意喚起の意味も込めて、詳細にご紹介します。

グリーンベルトでの出会い

被害に遭ったのは、仮に智也さんとしましょう。彼は初めてフィリピンを訪れた旅行者で、特に夜遊び目的ではなく、純粋にフィリピン観光を楽しんでいました。事件当日、彼はマニラの高級ショッピングモール「グリーンベルト」を散策していました。

そんな時、二人のフィリピン人女性、仮にエラとミカと名付けますが、彼女たちが智也さんに片言の日本語で「こんにちは、ジャパニーズですか?」と声をかけてきました。最初は警戒した智也さんでしたが、彼女たちが「日本のアニメやカラオケが大好き」「日本人は優しい」などと親日的な話題で盛り上がり、次第に警戒心を解いていきます。

食事と甘い誘惑

意気投合した三人は、近くのフィリピン料理レストランで食事をすることに。会話は驚くほど弾み、特にミカと名乗る女性は「日本に行くのが夢」「日本人と結婚したい」などと智也さんに好意的な言葉を投げかけます。智也さんも、若くて綺麗な彼女たちの言葉に気を良くし、「本当に日本のことが好きなんだな」「いつか日本に連れて行ってあげたいな」と感じるようになっていました。

食事が終わると、エラが「今日、知り合いの誕生日パーティーがあるんだけど、一緒に行かない?」と誘ってきました。フィリピンの誕生日パーティーは盛大だと聞き、ローカルな体験ができると興味を持った智也さん。滞在3日目で少し退屈もしていたため、彼女たちと一緒に行くことにしました。

古びたコンドミニアム、そして罠

タクシーに乗り込み、到着したのはパシッグ市内にある古びたコンドミニアム。エレベーターもなく、階段で3階へ。部屋は薄暗く、古びたソファーがあるだけで、生活感はあるものの、どこか怪しい雰囲気が漂っていました。「ここで誕生日パーティー?」と疑問に思いつつも、ここまで来て引き返すのも…と、智也さんは部屋で待つことに。

エラとミカが「準備してくるから待ってて」と部屋を出て10分も経たないうちに、彼女たちが戻ってきたかと思うと、その後ろには4人もの屈強な男たちがぞろぞろと入ってきたのです。

「未成年だぞ!」言いがかりと恐喝

男たちの一人、レイモンドと名乗る男が智也さんに詰め寄ります。「この子たちは未成年だ!お前、何をしたんだ!大きな問題に巻き込まれてるぞ!」と。智也さんは「誕生日パーティーと聞いて来ただけで何もしていない」と弁明しますが、男たちは「証拠はある。カメラで部屋に入ってくるところを撮った。警察を呼ぶか?永遠に刑務所だぞ」と脅します。

エラとミカも態度を豹変させ、「嫌だって言ったのに無理やりされた!」と嘘の証言。智也さんは「これは美人局だ」と気づきますが、スマートフォンも取り上げられ、完全に孤立無援。男たちは「警察を呼ぶか、5万ペソ払うか選べ」と迫ります。混乱し、身の危険も感じた智也さんは、結局財布から現金を出し、最終的に10万ペソを脅し取られてしまいました。

お金を渡すと、男たちと女たちは去っていき、智也さんは一人残されました。彼は泣きながらタクシーでグリーンベルトに戻り、翌日、警察にも届けず、在フィリピン日本大使館にも連絡せず、フィリピン旅行を中断して急遽帰国。今では海外に行くのが怖くなってしまったそうです。

VOKUからの警告:安易な誘いには絶対乗るな!

この話は本当に恐ろしい美人局の手口です。10万ペソで済んだのはまだマシな方で、中には100万円以上騙し取られるケースもあると聞きます。智也さんは初めてのフィリピンで、現地の警察や大使館への連絡を躊躇した気持ちも分かります。しかし、最も重要な教訓は「知らない人からの安易な誘いには絶対に乗らない」ということです。

特に、ショッピングモールなどで親しげに声をかけてくる人物には注意が必要です。彼女たちがどんなに親日的で、魅力的に見えても、その裏には巧妙に仕組まれた罠が隠されている可能性があります。「自分だけは大丈夫」という過信は禁物です。

フィリピン旅行の鉄則:警戒心を常に持つ

今回の事件は、フィリピン、特にマニラのような大都市では、観光客を狙った犯罪が後を絶たないという現実を示しています。 グリーンベルトのような一見安全そうな場所でも、危険は潜んでいるのです。

楽しい旅行にするためには、常に警戒心を持ち、甘い言葉や誘惑には乗らない勇気を持つことが何よりも大切です。 万が一トラブルに巻き込まれた場合は、すぐに警察や大使館に相談しましょう。

この智也さんの悲しい体験が、皆さんの安全なフィリピン滞在のための警鐘となることを願っています。